「乳がん」 は、世界で最も多くの女性患者がいるがんの一つです。原因は、乳管や乳腺内の細胞が異常に分裂し、がん細胞となって大きな塊に成長することです。この段階になると、患者自身がしこりを触れることが多いですが、適切な治療を受けなければ、がんは腋窩のリンパ節に広がり、血管やリンパ管を通じて肺、肝臓、骨など他の臓器に転移し、最終的には死亡に至ります。
早期の「乳がん」患者が適切な治療を受けた場合、5年以上生存し生活できる確率は70~90%に達します。そのため、肝臓がんや肺がんなど他のがんと比較して、乳がんによる死亡率は相対的に低いとされています。
乳がんの影響
身体的な影響に加え、「乳がん」は精神面にも大きな影響を与えます。乳房は女性らしさを象徴する器官であり、従来の乳がん治療では、医師が診断後に乳房とリンパ節を全摘出する手術(全摘乳房切除術)が一般的でした。
しかし現在では、必要最小限の切除を行う乳房温存手術(Breast conserving surgery: BCS)が主流となり、化学療法と放射線治療を併用して乳房全体に照射する方法が標準治療となっています。この治療法は全摘出と同等の効果があり、現在の乳がん治療の基準となっています。
乳がんの放射線治療と化学療法
乳がんの放射線治療は、化学療法(Chemotherapy)の後に行われます。化学療法は全身に作用する薬剤を用いて治療効果を高め、がんの根治や患者の生存期間延長を目指しますが、同時に正常な細胞にも影響を及ぼします。例えば、生殖器系、体毛の脱毛、骨髄の血小板、赤血球、白血球の産生機能に影響し、免疫力低下を招きます。治療中に白血球数が減少した場合は、治療を一時中断し、白血球数が正常に戻るのを待ってから再開します。
がんの再発抑制のための放射線治療
「放射線治療」は乳がん患者のほぼ最後の治療段階ですが、他の治療と同様に患者に不安をもたらします。正しい治療行動を促し、治療効果を高めるために、放射線治療について理解を深めましょう。
放射線治療(Radiation Therapy)
この治療法は多くのがん治療で重要な役割を果たしており、がん組織や臓器の組織に放射線を照射してDNAを破壊し、細胞を死滅させることを目的としています。主な目的は以下の2つです。
- 患者を根治させるために、最大限の放射線量を照射し、最良の効果を得つつ許容可能な副作用に抑えること。
- 根治が難しい患者に対しては、症状の緩和を図り、患者と周囲の生活の質を向上させること。
乳房温存手術から放射線治療へ
乳がんの放射線治療は、乳房温存手術(Breast Conserving Surgery)後に行われることが多く、手術側の乳房全体に照射する全乳房照射(Whole Breast Radiation)が基本です。また、鎖骨上リンパ節、腋窩リンパ節、場合によっては同側胸部リンパ節にも照射が及ぶことがあります。これはがんの進行度や位置によって異なります。
乳がんの放射線治療は浅い部位に照射するため、重要な臓器への影響は少なく、重篤な副作用はあまり見られません。照射回数は通常20~25回で、場合によってはがん部位に追加照射(Radiation Boost)を5~10回行い、再発率を下げます。治療は連続的に行われ、1回の照射時間は短く、痛みはほとんどありません。週5日照射し、2日休むサイクルで皮膚の回復と体の修復を促します。
放射線治療の副作用
放射線治療の副作用は主に2つに分けられます。
1. 即時に現れる副作用
治療開始から約8週間以内に現れるもので、照射部位の皮膚変化が代表的です。特に腋窩は汗や衣服との摩擦で蒸れやすく、皮膚炎や潰瘍が起こりやすい部位です。また、倦怠感、咳、吐き気、嘔吐、食欲不振、嚥下困難などの症状も見られます。これは胸部リンパ節照射が食道に影響を与えるためです。
照射部位に潰瘍や出血、高熱など異常があれば、予約日を待たずに担当医に連絡し、必要なら近隣の病院で応急処置を受けてください。
放射線治療中は体調管理と十分な休息が重要で、週1回の血液検査(CBC: Complete Blood Count)で治療継続の可否を判断します。白血球数が低下した場合は治療を一時中断し、回復を待ちます。また、感染リスクを減らすため、集会や人混みを避けるなど自己防衛が必要です。
照射部位の皮膚は赤み、色素沈着、かゆみ、痛みを伴うことがあり、水や冷気、直射日光に当てないよう注意が必要です。温冷の湿布や石鹸、化粧品の使用は避け、入浴後は柔らかい布で軽く押さえる程度にします。塩素のあるプールでの水泳も皮膚の乾燥や刺激を招くため控え、皮膚をこすったり掻いたりしないようにしてください。皮膚は「清潔かつ乾燥」が最良の状態です。
皮膚の保湿剤や外用薬の使用は、必ず担当医の指示に従ってください。
2. 治療後に現れる副作用
乳房温存治療を受けた患者では、治療した乳房が硬くなり、以前のような柔らかさが失われることがあります。乳頭が陥没したり、形が変わったり、反対側の乳房と大きさが異なることもあります。また、乳房に異常な毛細血管が現れ、将来妊娠した場合には照射した乳房での母乳分泌がないこともあります。
照射側の腕は指先から上腕までむくみが生じ、指の動きが制限されることがあります。炎症や傷がある場合は感染しやすくなり、肩の可動域制限や痛みも起こり得ます。患者は放射線治療中および終了後約1ヶ月間、医師の指示に従い、定期的なリハビリを行うことが推奨されます。
3次元放射線治療技術または強度変調放射線治療
(Intensity Modulated Radiation Therapy)
時代と共に技術も進化し、より安心できる治療へ
治療の準備と理解を深めることは、患者の早期回復と安心感につながります。医療の進歩により、現在は3次元放射線治療技術または強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy)が導入され、放射線治療医が治療計画を立てる際に詳細な情報を得られ、放射線量を病変に合わせて精密に分布させることが可能となりました。この技術により、周囲の正常組織への放射線量を減らし、副作用や合併症のリスクを低減できます。患者ごとに最適な治療計画を立てることができるのです。
私たちは細心の注意と体系的なケアで対応しています。治療を検討中の方は不安が軽減されるでしょう。忘れないでください、「乳がんは早期発見・早期治療が自信回復への近道」です。
