治療薬は通常、「点眼薬」やクリーム、ジェルの形であり、直接目に触れるため、薬は眼球の前面に最も高濃度で存在します。このような薬剤の利点は、体に起こりうる副作用を減らすことができる点です。薬剤が濃縮された涙と眼組織との違いにより、薬が角膜を通して吸収されやすく、乾燥しやすい結膜にも効果的に作用します。
目に残る点眼薬の量
通常、市販されている点眼薬の1滴は約50マイクロリットルです。一方、正常な人の座位でまばたきをした際の涙の貯留量は約7~10マイクロリットルです。したがって、目に残る点眼薬の量はわずか20%(10マイクロリットル/50マイクロリットル)、つまり1滴の5分の1程度です。正常な状態でも、涙の循環(1分あたり16%)など、薬の残存に影響を与える他の要因があります。この循環速度は、刺激による涙の増加時に速くなります。
薬が涙の貯留部にとどまる時間と涙の量は「薬の滞留時間」と呼ばれ、薬の処方や後から点眼する他の薬剤、さらには自然な涙の生成と排出にも関連しています。
点眼薬の吸収と点眼間隔
ゆっくり吸収される点眼薬は、涙の貯留部に50%、つまり初期投与量の10%(50%×20%)が残ります。この量は点眼後4分間貯留し、10分後には初期投与量の17%または3.4%に減少します。
したがって、複数の薬を点眼する患者は、最初の薬が後から点眼する薬で洗い流されないように、約5分の間隔を空けるべきです。また、まばたきは涙嚢から鼻腔への涙の吸収を促進し、涙嚢内の圧力を負圧にして涙の貯留を減少させるため、薬効を低下させます。
点眼後に涙が流れる場合の対処法
涙の貯留部にある薬の損失を防ぐ方法は2つあります。1つは目頭を指で押さえること、もう1つは点眼後5分間目を閉じることです。これらの方法は以下の効果があります。
- 涙の貯留部にある薬の損失を防ぐ
- 鼻粘膜からの薬の吸収を減らし、体への副作用を軽減する
- 使用する点眼薬の局所吸収を高める
薬の滞留時間や目への接触時間は、薬液の粘度を高めたり、ドラッグデリバリーオブジェクト(コンタクトレンズ、角膜用コラーゲンシールド、結膜ポケット用特殊装置など)を使用することで延長できます。
水溶性で小さな薬の粒子や分子は、角膜よりも約20倍多く結膜を通過できます。結膜は角膜周囲にあり、薬が白目を通じて眼球前部構造に効率的に浸透する重要な部位です。薬の角膜透過に影響を与える要因は9つあります。
- 適切な濃度で薬剤が溶媒に溶解していること
- 薬剤の粘度
- 脂溶性の薬剤の溶解性
- 薬剤の酸・アルカリ性
- 薬剤の電荷と分岐構造
- 薬剤の粒子サイズ
- 薬剤の化学構造と成分
- 溶媒
- 界面活性剤
点眼薬の透過性が低下する原因は?
透過性の低下は、刺激による涙の増加、薬効成分の涙や組織中のタンパク質への結合が原因で起こります。これらは薬の生物学的利用能(drug bioavailability)、すなわち体内循環系に入る薬の割合に影響し、薬効部位への運搬に関わります。
多くの点眼薬に使用される防腐剤は界面活性剤であり、角膜上皮のバリアを変化させ、薬の角膜透過性を高める効果があります。
正しい点眼薬および軟膏の使用方法
- 使用前に必ず医師の指示を確認する
- 薬の名前、有効期限、清潔さ、容器の状態、特に容器の先端にひび割れや欠けがないかを確認する
- 手を清潔に洗う
- 仰向けに寝るか天井を向き、利き手でない方の手で下まぶたを引き下げ、利き手で容器を持つ
- 容器の先端が目、指、まつ毛、目の周囲に触れないように注意しながら、眼のくぼみに1滴点眼する。これにより容器内への細菌侵入を防ぐ
- 点眼後は人差し指で目頭を押さえるか、5分間目を閉じて静止する
- 余分な薬液はティッシュ、綿、清潔な布で拭き取り、特に人工涙液でない化学薬品の場合は、水で湿らせて絞ったティッシュや綿で拭き取る
- 軟膏を使用する場合は、手順3と4を行い、眼のくぼみに軟膏を塗る。点眼薬と同時に使用する場合は、点眼薬を先に点眼し、5分間待ってから軟膏を使用する
- 複数の薬を使用する場合は、各薬の点眼間隔を5~10分以上空ける
- 使用後は容器の蓋をしっかり閉め、蓋の先端を洗わずに閉める。薬は冷蔵庫で保管する
- 点眼や軟膏使用後は必ず手を洗う
- コンタクトレンズを装用している場合は、点眼前に外し、点眼後15分待ってから再装着する
